国税庁はこのたび平成27年度(27年4月〜28年3月)の査察調査事績をまとめた。査察事案の個別具体性にもよるがリーマン・ショック以降の景気低迷の影響が未だに残り、査察着手件数が6年連続で200件を下回るとともに、1件当たりの脱税額は平成では最も少ない金額となったことなどがわかった。 27年度中は189件に対し査察調査を着手。リーマン・ショック後の平成22年度以降、着手件数は200件を下回り続けているが、27年度は1事件当たり着手日に延べ155名を動員して49か所を調査するなど、件数こそ減少しているものの後を絶たない大口・悪質脱税事案に対し厳正な調査を行っている。 脱税事案に対する刑事責任の追及を行うため、検察庁への告発の可否を最終的に判断した「処理」件数は、27年度以前に着手した継続事案を含めた181件。このうち検察庁に告発したのは115件、告発率は63.5%。査察着手から告発までの平均調査期間は9か月で、1年超を要した事案は34件あった。 脱税額は、処理事案に係る脱税総額(加算税含む)は138億4,100万円、このうち告発分は112億400万円で、いずれも平成では最少額で、直近5年間の大口事案の推移をみると、脱税額10億円以上のものは23年度に1件、24年度に2件あったが、ここ3年間はゼロであることも脱税額の減少に結び付いている。
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